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【要注意】ChatGPT(生成AI)の“知ったかぶり”に騙されない!塾の信頼を守るAIファクトチェック術

PC前でChatGPTの嘘に怒る塾講師と、謎のAIトレーナーによる会話でお聞きください。
ChatGPTをはじめとする生成AIは、私たちの仕事を劇的に効率化してくれる、まさに「魔法の杖」のような存在です。しかし、この魔法の杖には、一つだけ重大な欠陥があることをご存知でしょうか。
それは、平然と、もっともらしい「嘘」をつくことです。
例えば、歴史の年号を間違えたり、存在しない法律や論文を引用したり…。その回答はあまりに流暢で自信に満ちているため、専門家でさえ騙されてしまうことがあります。
もし、あなたがAIのその回答を鵜呑みにして、保護者へのお便りや生徒への指導に使ってしまったら…?想像するだけで、恐ろしいですよね。あなたの塾が長年かけて築き上げてきた「信頼」が、一瞬で失墜しかねません。
この記事では、AIのポジティブな側面だけでなく、そのリスクにも真正面から向き合います。そして、AIの“知ったかぶり”からあなたの塾の信頼を守り、AIを安全なパートナーとして活用するための、具体的な3つの方法を解説します。
1. 「天神塾ラーメンは豚骨醤油です」― AIは、なぜ平然と嘘をつくのか?
まず、この会話を見てください。これは、私がChatGPTに投げかけた質問です。
私:「滋賀県草津市大路2丁目にある『タオ天神塾ラーメン』っておいしいよね。メニューってなんだっけ?」
ChatGPT:滋賀県草津市大路2丁目の「タオ天神塾ラーメン」のメニューをご紹介します📋。投稿されている写真から、以下の定番ラインナップがうかがえます:
🍜 ラーメン各種
鶏とハマグリ出汁の塩ラーメン:あっさり&旨味たっぷりのスープが特徴。清湯系で、鶏油やハマグリの風味がきいています。醤油ラーメン:鶏ベースに醤油ダレを加えた定番スタイル。刻みネギ・チャーシュー入り 。
味噌ラーメン?:赤丸のビジュアルから味噌系か辛味入りのラーメンもある可能性(写真に辛味噌風の赤いスープが映っていました) 。

一見、非常に自然な回答です。しかし、一つだけ問題があります。
この住所は、当社の所在地ですがこんなラーメン屋さんはありません。
これが、AIが持つ最も恐ろしい特性、**ハルシネーション(幻覚)**です。AIは悪意なく、しかし自信満々に、事実とは異なる「それっぽい文章」を生成してしまうのです。
この「AIは確率で話しているだけ」という大原則を理解しておくことが、騙されないための第一歩です。
ちなみに、同じ内容をGeminiに聞いてみると、こんな内容が返ってきました。
Gemini:申し訳ありません、滋賀県草津市大路2丁目にある『タオ天神塾ラーメン』について、具体的なメニュー情報をWeb上で見つけることができませんでした。
もしよろしければ、他に何かお調べできることがあればお申し付けください。

一見正確なように思えます。
私:あれ?じゃあ、滋賀県草津市に範囲を広げよう。どこかにあったよね
Gemini:「タオ天神塾ラーメン」という名前のお店は見つかりませんでしたが、滋賀県草津市大路2丁目9-1 陽だまりビル5Fに「タオ」というお店が見つかりました。
この「タオ」というお店は、ラーメン店ではなく、ウェブサイトによると「タオ進学セミナー」という学習塾のようです。
もし、この「タオ」が探しているお店ではない場合、別の情報をお持ちでしたら教えていただけますでしょうか。

当社は学習塾でもないし「タオ進学セミナー」という名称でもないのですが、なんとかそれっぽい情報を導き出そうとした結果、嘘を言ってしまってします。
2. AIの嘘から塾の信頼を守る、3つの鉄壁ガード術
では、どうすれば私たちはAIの嘘から身を守れるのでしょうか。今日から実践できる3つの具体的な方法をご紹介します。
ガード術①:「裏付け」を支援するAIを使い分ける
最も重要な鉄則は、AIからの回答はすべて「仮説」と捉え、最終的なファクトチェックは必ず人間が行うことです。
ただし、その「裏付け」作業も、賢くAIに手伝わせることは可能です。ここで重要なのが、「ファクトチェックをしやすくするための、検索特化型AI」を使い分けることです。
例えば、ChatGPTに作らせた文章の中の「〇〇法という法律では~」という部分が怪しいと感じたら、その部分をコピーして、「この法律は本当に存在しますか?存在するなら、根拠となる公式サイトのURLを教えてください」と尋ねてみるのです。
これにより、私たち人間が行うファクトチェックの時間を大幅に短縮できます。
また、Perplexity のようにWeb検索と連携したAIに聞いてみるのも有りです。
以下は、Perplexityに「滋賀県草津市大路2丁目にある『タオ天神塾ラーメン』っておいしいよね。メニューってなんだっけ?」と「あれ?じゃあ、滋賀県草津市に範囲を広げよう。どこかにあったよね」を聞いた答えを貼っておきます。
ChatGPTとgeminiは、嘘をつきましたが、Perplexityは2回目の質問でも嘘は言いませんでした。


ガード術②:「魔法の言葉」でChatGPTに自己検証させる
ChatGPT自体にも、嘘をつかせにくくする効果的な質問の仕方があります。それは、「出典」や「根拠」を明確に示すように要求することです。
【良い頼み方(魔法の言葉)】「江戸時代の教育制度について、複数の信頼できる情報源(論文や公的資料など)を基に解説してください。また、それぞれの情報の出典元を明記してください。できればURLも明記してください。」
このように頼むと、ChatGPTは「それっぽく」答えることが難しくなり、より慎重に、事実に基づいた回答をしようとします。
ただし、出典が書かれたかといって安心はできません。出典を検索したり、URLを開いてみましょう。
調べてみると、そんな資料はどこにもなかった・・・ということが起こり得ます。「そんなものないじゃないか!」と怒ったところで、「申し訳ありません。次こそは・・・」と言いながらまた嘘が返ってきます。
そこで分かることは、そのAIツールは、そのジャンル(例えば検索)は得意じゃないということです。
ガード術③:「餅は餅屋」AIツールごとの得意・不得意を知る
生成AIと一口に言っても、それぞれに個性があります。この「性格」を理解し、適材適所で使い分けることが、プロのAI使いへの近道です。
- ChatGPT:創造性豊かな「アイデアマン」
- 得意なこと: 壁打ち、ブレインストーミング、長文の物語やメールの下書き作成など、「0→1」で何かを生み出すクリエイティブな作業が最も得意です。あなたの優秀な企画担当者やコピーライターになってくれます。
- 苦手なこと: 最新情報の検索や、事実の正確性。学習データが少し古い場合があり、平気で嘘をつきます。彼の言うことは、必ず裏付けが必要です。
- Perplexity:几帳面な「リサーチャー」
- 得意なこと: 情報源を明記した、事実調査のサポート。「〇〇の最新ニュースは?」「〇〇の公式サイトは?」といった質問に対し、出典リンク付きで正確な情報を素早く提示してくれます。ファクトチェックの最初の相棒として最強です。
- 苦手なこと: 柔軟な発想や深い対話。彼は検索のプロですが、クリエイティブな相談相手としてはChatGPTに一歩譲ります。
- Google Gemini:博識な「情報整理の専門家」
- 得意なこと: Google検索との連携による、最新かつ網羅的な情報収集。特に、YouTube動画の要約や、Gmail、Googleドライブ内の情報を横断して回答を生成する能力は圧巻です。複雑な情報を整理・要約させたい時に頼りになります。
- 苦手なこと: 現時点では、ChatGPTと比較すると、詩や物語のような、情緒的でクリエイティブな文章生成はやや苦手な印象があります。
2025年7月時点で、検索関連、特に事実に基づいた情報がほしいのであれば Perplexity をオススメします。
また検索の際に「公的機関のものだけを検索対象としてください」とすると、どこの記事だかわからない記事が除外できるのでさらに安心です。
どれが何が得意かについては、各生成AI内のモデルやオプション的な指示の出し方でかなり精度が変わりますが、ザックリとまとめると上記のようになります。(2025年7月時点)
このように、「アイデアが欲しい時はChatGPT」「事実の裏付けが欲しい時はPerplexity」「Googleサービスと連携したいならGemini」と使い分けるだけで、AI活用の安全性と質は飛躍的に向上します。
まとめ:リスクを知る者だけが、真のパートナーになれる
車の運転と同じです。アクセルとブレーキの場所を知り、交通ルールを学び、事故のリスクを理解しているからこそ、私たちは車を安全で便利な乗り物として活用できます。
AIも全く同じです。そのリスクと限界を正しく理解し、賢く付き合う方法を身につけること。それこそが、AIをあなたの塾経営にとって、真に信頼できる「最高のパートナー」へと変える、唯一の道なのです。
雑務に追われ、本来最も時間をかけたかったはずの、生徒一人ひとりと向き合う時間。
いつの間にか忘れてしまっていた、教育という仕事の本当の喜び。
AIという新しいパートナーは、それらを取り戻すための大きなチャンスを、私たちに与えてくれました。
「時間」と「心の余裕」を手に入れ、あなたが本当にやりたかった理想の塾教育を実現する。
その未来に向けた最初の一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか?
あなたの情熱が、最高の形で生徒たちに届くように。
私たちが全力でサポートします。