放課後等デイサービスの学習支援、うまくいかない理由と“できた！”を引き出す工夫

2025年5月13日2025年5月23日

コラム放課後等デイサービス

放課後等デイサービスでは、日々の療育や余暇活動だけでなく、近年「勉強も見てほしい」という保護者からのニーズが増えています。学習支援は、家庭では難しいからこそ、放課後等デイサービスに期待が寄せられています。

しかし、支援スタッフにとって、学習支援は決して簡単なことではありません。子どもによって発達段階も興味関心も違い、教え方を工夫してもなかなか取り組んでくれなかったり、そもそも学習の進度や教材の選び方に迷ったりすることもあるでしょう。

加えて、支援スタッフの多くは教育の専門家ではなく、療育や支援のプロ。「本当にこの教え方でいいのか？」「学習ってどこまで関わるべきなのか？」といった不安や葛藤を抱えながらも、日々子どもたちと向き合っているはずです。

しかし、学習支援＝学校のように“教える”ことではありません。放課後等デイサービスだからこそできる、「できた！」という小さな成功体験を積み重ねる支援こそが、子どもたちの自信や意欲を育てていくのです。

本記事では、

「保護者から勉強を教えてあげてと言われても困る…」
「スタッフ間で教え方がバラバラで、何が正解か分からない」
「教材ってどう選べばいいの？」

等の悩みを持つ放課後等デイサービス現場のスタッフの方に向けて、 “できた”を引き出す学習支援のコツや、ICT教材を使った学習支援法、スタッフの不安を減らす環境づくりについて解説します。支援の“質”を保ちながら、スタッフの“負担”を減らすヒントが見つかるはずです。

学習支援がうまくいっていない放課後等デイサービスの課題
子どもの“できた！”を引き出すための学習支援における工夫3選
学習支援の質を上げるICT教材の活用と導入のポイント
学習支援で変わる！現場と子どもの前向きな変化
まとめ：できることから始めて、“できた！”を支える放課後等デイサービスに
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学習支援がうまくいっていない放課後等デイサービスの課題

学習支援に取り組んでいる放課後等デイサービスは年々増えていますが、実際の現場では「思うようにいかない」「支援としての手応えが感じられない」といった声も少なくありません。一見シンプルに見える“勉強を見る”という支援も、放課後等デイサービスならではの難しさがあります。ここでは、現場でよくあるつまずきポイントを整理してみましょう。

子どもが学習に取り組まない・集中が続かない

「プリントを出してもすぐに飽きてしまう」「机に向かうこと自体が苦手」という子は少なくありません。特に放課後等デイサービスでは、学校でエネルギーを使い果たしてから来所する子がほとんどです。疲れていたり、学習に対してネガティブな印象を持っていたりすると、どんなに良い教材でも手が止まってしまいます。

子どもに合った教材が見つからない・そもそも教材がない

学校の教科書に合わせてプリントを作るのも一つの方法ですが、時間と手間がかかります。また、市販のドリルでは難しすぎたり簡単すぎたりしてモチベーションが下がることもあります。「結局、同じようなプリントばかりになってしまう…」という声も多く、子ども一人ひとりに“合う教材”を用意する難しさに直面している現場が多いのが現実です。

支援計画と学習内容がつながっていない

放課後等デイサービスの支援は、個別支援計画をもとに行う必要がありますが、「学習内容がどう支援目標につながるのか分からない」「記録にどう残せばよいか迷う」という声も多く聞かれます。支援内容と記録の一貫性が曖昧だと、学習支援が“なんとなくの勉強時間”になってしまいがちです。

スタッフ間で教え方がバラバラ

あるスタッフは「繰り返し読み上げてあげる」、別のスタッフは「自分でやらせるように促す」。それぞれの方針に良し悪しがあるわけではありませんが、子どもが混乱したり、支援に一貫性がなくなったりする可能性があります。支援方針がスタッフ任せになると、「自信がある人だけが学習を担当する」状態にもなりかねません。

成果が見えにくい・達成感が得られない

「支援しても変化が感じられない」「毎回同じところでつまずいている」

など、スタッフ側が“手応え”を感じにくいことも学習支援の難しさのひとつです。達成感が薄いと、学習支援に前向きになれず、つい後回しにされてしまうことも少なくありません。こうした課題を放置しておくと、

「学習支援はスタッフの負担になるだけ」「うちでは無理」

と判断され、支援そのものが縮小されてしまうこともあります。でも、視点を少し変えるだけで、無理なく・続けられる学習支援に変えることは可能です。次の項目では、子どもたちの「できた！」を引き出すために、今日から取り入れられる支援のコツをご紹介します。

子どもの“できた！”を引き出すための学習支援における工夫3選

放課後等デイサービスでの学習支援は、「勉強を教えること」ではなく、「子どもが“できた”と感じる経験を積むこと」が大きな目的です。勉強への苦手意識がある子どもでも、少しの工夫で前向きに取り組めるようになります。ここでは、現場で今日から試せる3つの工夫をご紹介します。

1. 小さな成功体験を積ませる支援を意識する

例えば「1ページやり切ること」「10分間座って取り組むこと」「自分でプリントを選ぶこと」など、どんなに小さなことでも達成感を味わえるように支援を組み立てることが大切です。成功体験は「もっとやってみよう」という意欲につながります。

たとえば、「できたね！」「ここまで集中できたのはすごいね」と声をかけることで、子ども自身が努力を認識できるようになります。評価の基準を“正解数”や“量”ではなく、プロセスや姿勢に置くことで、勉強が「頑張れば認められる活動」だと感じてもらえるようになります。

2. 子どもに合った教材を選ぶ工夫をする

教材の難易度が合っていないと、子どもはすぐに嫌がったり、逆に飽きてしまったりします。そのため、子どもの特性や発達段階に合わせて「少しがんばればできそう」と感じられる教材を選ぶことが重要です。

ICT教材を活用すれば、子どもに合ったレベルの問題を簡単に提示できたり、進捗を記録したりすることができます。また、視覚的にわかりやすく構成されている教材は、集中しやすく、楽しんで学ぶことにつながります。

3. “学びの時間”を「特別な時間」として演出する

子どもが学習に取り組みやすくなるように、環境や雰囲気づくりにも目を向けることが大切です。たとえば、学習に使うスペースを決めたり、好きなキャラクターの文房具を用意したりすることで、「この時間は特別なんだ」と子どもに感じてもらえます。

また、「5分だけ頑張って、終わったら好きな活動に移ろう」といった見通しを持たせると、子どもが安心して取り組むことができます。学習の時間そのものがストレスにならないように工夫しながら、子どもにとって心地よい学びの時間を作ることが、継続的な支援につながります。

学習支援の質を上げるICT教材の活用と導入のポイント

前項目の「子どもに合った教材を選ぶ工夫をする」でもお伝えしたように、学習支援の効果を高めてスタッフの負担を軽減するためには、ICT教材の導入が非常に有効です。ICT教材を活用することで、

「教材が合っていない」
「支援に一貫性がない」
「成果が見えにくい」

といった現場の課題を解消しやすくなります。ここでは、放課後等デイサービスでICT教材を取り入れる際のポイントを紹介します。

子どもに合わせた学習内容を自動で提供できる

ICT教材の大きな利点は、一人ひとりの子どもに合った学習を提案できる点です。難しすぎたり簡単すぎたりする教材では、子どもはすぐにやる気をなくしてしまいますが、ICT教材ならその子の「ちょうどいい難しさ」を保ちやすくなります。さらに、自分で問題を選んで進められる仕組みがあれば、学習に対する主体性も育まれます。

「できた」が可視化され、達成感を得やすくなる

ICT教材の中には、取り組んだ内容をもとに苦手なジャンルを導き出し、反復学習を促す教材もあります。これにより、スタッフは子どもの頑張りを具体的に把握でき、支援計画の見直しや評価記録にも活用できます。

また、子ども自身も「今日はここまでできた」という成果を画面上で実感できるため、自信をつけやすくなります。ゲーム感覚で学べる設計の教材であれば、楽しく学びながら達成感も得られます。

スタッフによる指導の差を減らし、支援に一貫性を持たせられる

「誰が見ても同じように支援できる」状態を作れるのも、ICT教材の強みです。指導経験の差があっても、同じ教材を使えば支援の質を一定に保ちやすくなります。また、音声読み上げやヒント機能など、特性に配慮した機能が搭載されている教材であれば、スタッフが常に付き添っていなくても、子どもが自力で学習を進めやすくなります。

放課後等デイサービスデイに導入しやすいICT教材を選ぶためのポイント

放課後等デイサービスでの使用を前提としたICT教材を選ぶ際は、以下のような点をチェックすると安心です。

発達段階や特性に配慮された設計になっているか
サポート体制（操作説明・導入支援・運用サポート）が整っているか
学習履歴や成果がスタッフにも確認しやすいか
子どもが楽しんで継続できる工夫があるか

弊社で提供している教材「天神」は、実際に多くの放課後等デイサービスで導入されており、「学習支援に自信がなかったけれど、これなら続けられる」といった声をいただいています。こちらの項目で紹介した

一人ひとりの子どもに合った学習を提案できる
取り組んだ内容をもとに苦手なジャンルを導き出し、反復学習を促す
自信をつけやすい工夫
学習履歴や成果がスタッフにも確認できる
サポート体制（操作説明・導入支援・運用サポート）が整っている

等を満たしている教材です。導入前のご相談や無料体験も可能ですので、学習支援を取り入れたい事業所様にも安心してお使いいただけます。

学習支援で変わる！現場と子どもの前向きな変化

放課後等デイサービスで学習支援を導入することで、「勉強＝つらい」「苦手」といったネガティブな印象が変化し、子どもたちの表情や行動に少しずつ良い影響が表れ始めます。下記は、学習支援を通して実際に起きた前向きな変化の一例です。

子どもが「やればできる」と思えるようになった
勉強に対する拒否感が少なくなった
スタッフの自信とやりがいが増した
保護者との関係性も良くなった

実際に、「できた！」という感覚を得られることで、子どもたちの勉強に対する意欲が少しずつ変わったり、スタッフの支援に対する自信が高まったという声も聞かれています。また、学習に取り組んだことで、少しずつ自信を持つ子どもたちの姿が現場にとっても励みになることがあるようです。これらの変化は、すぐに全ての子どもに現れるわけではありませんが、少しずつでも「勉強ができる」という成功体験を積み重ねることで、前向きな変化が期待できます。保護者に子どもの変化を共有し合えることで、放課後等デイサービスが保護者にとっても「安心して任せられる場所」になるでしょう。